犬の健康
シニア犬・老犬が元気でいるための運動と食事管理のポイント

シニア犬・老犬が元気でいるための運動と食事管理のポイント ~目次~
シニア犬・老犬が心身の健康を保てるように運動と食事の習慣を見直そう
うちに来た時にはかわいい子犬だった愛犬もみるみるうちに大きくなって、やがてシニア期を迎えます。
見た目がかわいいし、考えたくもないのでつい後回しにしてしまいますが、犬は人間よりも寿命が短生く、老いていくスピードも人間よりも早いものです。人間よりも短い犬の人生(犬生?)の中で、何歳からシニア期と呼ばれるのか知っていますか?
犬のライフステージに合わせた食事や運動について理解して、大切な愛犬が一日でも長く元気でいられるようにケアしてあげましょう。
シニア犬・老犬の定義
犬は11か月までの子犬期を過ぎると成犬になります。その後、7歳を過ぎるとシニア期に入ります。
小型犬は大型犬と比べて寿命が長いため、相対的に穏やかに年齢を重ねていくことになります。

犬の健康寿命については「犬が高齢になるということについて考えてみる」で解説しています。
全国で飼育されているの平均年齢
令和4年全国犬猫飼育実態調査によると、現在飼育されている犬は約半数がシニア期に差し掛かっています。
食事の栄養面や住環境は目まぐるしいくらいに改善され、昔よりも長生きする「ご長寿わんこ」が増えました。同時に「老犬介護」に直面している飼い主も増加の一途をたどっています。
次いで多いのが1歳から6歳のわんこの40.7%。この子たちはあと数年するとシニア期に仲間入りします。平均寿命は延びていますので、今後さらなる高齢化の可能性もあります。

犬の年齢を人間に置き換える場合については、犬の年齢は人間で例えると何歳?のページでくわしく解説しています。
シニア犬・老犬の元気の秘訣は適度の運動
犬にとって足の筋肉は体を支えるとても大切なものです。
足腰が弱ると、体力が落ちて老化が一気に進むこともあります。どのようなポイントに気を付けて行けばよいのか一緒に見ていきましょう。
シニア犬・老犬の散歩や運動のポイント
お散歩はほとんどの犬にとって、一日の中で楽しみな時間です。
ところがシニア期わんこは、積極的に散歩に行きたがらなくなったり、おもちゃにつられなくなってきます。

ついつい飼い主の都合でそう解釈してしまいがちですが、散歩をやめると足腰が弱り、関節やじん帯、筋肉が固まって老化が急に進みます。さんぽは全身を使って血行を良くします。体の隅々まで酸素を届けられるように短時間でもシニア犬の散歩は続けるようにしましょう。
どうしても散歩を嫌がる時には、お座りしたり、ふせをするだけでも足腰のトレーニングにはなります。楽しく取り入れてみましょう。
お散歩が面倒な時の解決方法については「犬の散歩がめんどくさい人必見!毎日の散歩を楽しくする方法教えます!」でくわしく教えます!
シニア犬・老犬の散歩・運動に適した気候や時間帯
真夏や真冬はアスファルトの温度が極端に暑くなったり、冷たくなったりします。真夏の昼間や真冬の日の出てない時間帯のおさんぽは、シニア期のわんこにとっては大きな負担なのでやめた方がベター。
お散歩に行く時間は、手のひらで地面に触れてみて、ヒンヤリと冷たいな。くらいがちょうど良い時間。夏であれば朝や夜。冬であれば日の当たる昼間です。

夏はこれまで以上に熱中症対策をしましょう。犬はもともと人間よりも体温が高いうえに、地面からの距離も近く、熱が体にこもりやすくなります。
散歩・運動の時に取り入れたい習慣
散歩に出かけたら、そよ風に吹かれたり花の香りを嗅いだりとたくさんの刺激を受けましょう。 自分で歩けなくなってしまっても、外気浴をすることでとても良い脳への刺激となり、体内リズムを整えるのに有効です。
日光に当たると「メラトニン」というホルモンが増え、夜には心地よい眠りへと誘ってくれます。メラトニンは日光を浴びてから14~17時間程度で眠くなると言われていますので、うまく活用すれば睡眠の質を向上させることにもつながります。
シニア犬・老犬に合わせた栄養をとろう
シニア期の犬はこれまでとは、体に必要なエネルギーのバランスが変わってきます。
成犬期よりも食事自体の量が減るので、少ない量でも必要な栄養を充分取れる食事内容に変えなければなりません。
加齢による体の衰えを少しでも穏やかにしてあげたい。そんな方に積極的に取り入れてほしい栄養について解説していきます。
筋肉の低下を最小限に抑えるたんぱく質

たんぱく質や筋肉と聞くと「ムキムキにしたいわけじゃない」と思うかもしれませんが、シニア期のたんぱく質補給は、徐々に落ちていく筋肉を維持するために必要です。
もともと筋肉の役割は、運動機能だけでなく体温の維持や血液の循環もあります。年齢を重ねると手足が冷たくなるのは、筋力低下で充分に血液が届いていないことによるものです。
たんぱく質は骨を強くしたり皮膚の代謝にも欠かせない体を作る栄養です。
犬は雑食ですが、もともとは肉食動物。加熱したお肉や魚からのたんぱく質補給がおすすめです。
シニア期に取り入れたい!たんぱく質食材
- 鶏ささみ…低脂肪で体重管理をしている子でも食べられます。
- 鶏もも肉…ビタミンB2と鉄分も補給できます。
- サーモン…肉よりも消化が良い。無塩のものを加熱して骨は取り除こう。
錆びつきを抑える抗酸化成分を採ろう!
動物は呼吸して空気を取り込み、体内に入った空気は二酸化炭素と一緒に活性酸素を作ります。活性酸素は、適度なら免疫機能を維持するメリットがありますが、許容量を超えて作られすぎると、細胞にダメージを与えて疲労や老化の原因となることがあります。
そんな活性酸素の働きを抑制するのが、抗酸化物質。抗酸化物質は本来体内で産生されるものですが、加齢によって産生量は徐々に減少していきます。
その減少した分の抗酸化物質を補給することで、活性酸素による細胞のダメージから体を守り、老化の進行を最小限に抑えられます。
抗酸化物質にはポリフェノール(アントシアニン・イソフラボン・カテキンなど)とカロテノイド(βカロテン・リコピン・アスタキサンチンなど)があります。
代表的な抗酸化物質と摂りたい食品
- アントシアニン…視力や視覚機能に働きかける抗酸化物質
【多く含む食品】ブルーベリー、ナスなど - イソフラボン…女性ホルモンににた働きをする抗酸化物質
【多く含む食品】大豆製品 - カテキン…殺菌・抗菌作用があり、強い抗酸化作用を持つ
【多く含む食品】緑茶、ブドウ、チョコレートなど - βカロテン…植物に豊富に存在する抗酸化物質。
【多く含む食品】にんじん・ほうれんそうなど - リコピン…強力な抗酸化作用を持つ物質。
【多く含む食品】トマトやスイカなど - アスタキサンチン…化粧品などでおなじみの抗酸化物質。
【多く含む食品】鮭、エビ、カニなど
腸内環境に良い栄養を摂ろう!!
腸は第二の脳。と呼ばれるくらい健康において重要な器官です。腸内には良い影響を与える「善玉菌」悪い影響を与える「悪玉菌」どちらでもない「日和見菌」の三つの菌がいます。
善玉菌の割合が少なくなると、悪玉菌が腸内にガスを発生させたり、腸からの栄養補給の邪魔をするといった悪さを始めます。そうならないためには善玉菌が活躍できる環境を守ることが必要です。
腸内環境を守るためには食物繊維がオススメです。その他にもオリゴ糖や、乳酸菌が善玉菌を増やして、活発に活動できる腸内環境を守ります。

腸内環境が悪くなると、下痢や便秘などの便通のトラブルや、食欲低下が起こります。体力の落ちているシニアわんこにとって、これらのトラブルは大きな負担となるので腸内環境は健康に保つようにしましょう。
ただし、人間と比べて食物繊維の消化は得意ではありません。食事の全体量の20%以下を野菜に置き換えるくらいにして、基本の栄養はフードでとるようにしましょう。
シニアでも食べられる食物繊維食材
- 鶏ささみ…低脂肪で体重管理をしている子でも食べられます。
- 鶏もも肉…ビタミンB2と鉄分も補給できます。
- サーモン…肉よりも消化が良い。無塩のもので骨は取り除こう。
腸内環境を守るオリゴ糖とポリフェノールが補給できるサプリメントについては「熊笹(クマ笹・隈笹)エキスが犬用や猫用のサプリメントとして注目されている理由」で解説しています。
シニア犬・老犬の食欲がないときのちょっとした裏技
年齢と共に食欲が低下してしまうのはよくあることです。また、一度体調を崩したことがきっかけで一度の食事の量をたくさん食べられなくなってしまうことも。
そんなときにサクッとできる、シニアわんこの食欲アップ裏技を紹介します。
フードを温めてみる
温めるとフードの香りが強くなって食欲をそそります。温める。と言っても人肌程度でOK!
犬は嗅覚が優れているので、いつものごはんとの違いにちゃんと気づいてくれます。
温めることで胃腸への負担を軽減できるのもメリットです。
フードをふやかす

あごの力が弱くなって、固いフードを噛んだり飲み込むのが怖くて避けているかも。他にも歯肉炎や歯周病などお口のトラブルによって痛くて噛めないケースがあります。
そんな時は、白湯やゆで汁でフードをふやかしてみませんか?柔らかいフードは食べやすく、飲水量が減るシニアわんこにとって水分も一緒に取れるから一石二鳥。ササミをゆでたゆで汁を使えば、お肉の風味も重なって食欲アップ間違いなし!
愛犬のお口トラブルについては「犬の口が臭い原因をスッキリ解決!驚くほど口臭が気にならなくなった対策方法とは?」で解説しています。
フード変更で味変!
毎日同じものを食べるのは人間でも飽きます。食の好みが変わる子も少なくないので、フードの種類を変えることで食べるようになるケースもあります。
キャットフードはカロリーがドッグフードよりも高いですが、嗜好性が高く気に入る子も。ドライよりはウェットフードがおすすめです。
食器の置き場を一段上げる

下を向いて食べ物を飲み込むのって、結構大変なんです。節々が固くなるシニア期には、これまで平気だった体勢でも背中や腰に負担がかかってつらくなっているかも。
首の負担を減らせるように食器を一段高い台に乗せることで食欲が改善したケースもあるようです。
シニア犬・老犬の運動と食事管理のポイント まとめ
シニア期だからと過剰に意識してあれこれ一気に変えるのは、犬にとってストレスになることもあります。
一番に考えるべきは「愛犬が一番快適な状況は何なのか。」
やってみて「ちょっと違うな」と思えば、無理にやる必要はありません。
飼い主にとっても愛犬にとっても快適な生活環境はそれぞれ違いますので、コミュニケーションを取りながらベストな選択を見つけていってくださいね!
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