熊笹(くまざさ)解説
人間とクマザサの歴史
薬がなかった時代から「クマザサ」は大活躍の働き者だった!!
中国最古の薬物書「神農本草経」にも漢方薬として紹介されているほど、遠い昔から健康を支えてきたクマザサ。外界から離れ、霞を食べて生きてきたといわれる不老長寿の「仙人」は、実はクマザサを食べていたと伝えられてもいます。このほか、クマザサは李時珍の記した『本草網目』にも「じゃく」として収載されています。その中で、クマザサは次のように述べられています。
- 気 味……甘し、寒にして毒なし
- 主 治……男女の吐血、嘔血、下血、小便渋滞、喉痺、腫瘍を治す
日本でも昔からクマザサは生活の中で広く使われていました。その昔、山仕事や旅の途中で食べるおにぎりや餅を包んだのは、クマザサの葉です。また、笹団子、笹あめ、笹寿司、笹酒、チマキ……防腐作用や殺菌効果の高いクマザサを使った食べ物は、昔からこんなにたくさんあったのです。
今ほどたくさんの薬がなかった昔、人々は民間治療薬で病気や怪我を治していました。そこで大活躍したのはクマザサでした。東北地方では胃腸病、高血圧、ぜんそく、風邪の時にクマザサのせんじ薬を飲んでいたと言います。また、やけどや切り傷、湿疹にあせも、虫さされ、はては口臭や体臭を消すことにまで、暮らしに深く浸透していたのです。