食物繊維と腸内環境
一日に取るべき食物繊維の量は?無理なく始める食物繊維ライフ!効率的な摂り方教えます!
一日に取るべき食物繊維の量は?無理なく始める食物繊維ライフ!効率的な摂り方教えます! ~目次~
一日にとるべき食物繊維の量は?
厚生労働省が定期的に調査している「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によると、日本における成人(18歳以上)一日当たりの食物繊維の摂取目標は一日24g以上が理想とされています。
ところが平成28年国民健康・栄養調査によると実際には日本人の食物繊維摂取量の中央値は、すべての年齢区分において基準と比べてかなり低いことがわかっています。
中でも成人の平均摂取量は一日あたり14g前後と基準と比べても10g程度不足していることがわかります。
そのため厚生労働省では、なるべく多くの方に目標を達成してもらうために実現可能な数値目標として男性で21g以上、女性で18g以上を毎日積極的に摂取するように呼び掛けています。
食物繊維とは
食物繊維は炭水化物に分類される中の一つで、ヒトの小腸にある消化酵素では消化することができない成分です。食べることによって体内に入った食物繊維は、小腸で消化・吸収されることなく大腸まで届きます。
厚生労働省が運営するe-ヘルスネットでは食物繊維について以下の通り解説しています。
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することが勧められます。
食物繊維はかつては役に立たない不要なものとされていました。ところが研究が進むにつれて、肥満やコレステロール値などにおいて有効性があることがわかってきました。
今では栄養素ほどではないが、厚生労働省で摂取する目標量を設定するくらい健康維持に必要な成分として注目されています。
食物繊維の形状
食物繊維とひとえに言っても、厳密にはとても多くの種類があります。その形状は「ネバネバしたもの」から「ボソボソしたもの」あるいは「サラサラしたもの」まで、たくさんのバラエティーに富んでいます。
それぞれの形状をした食物繊維が持つ保水性や、吸水性が体内働くことによって、健康維持に寄与します。
食物繊維を摂ることで期待できる効果とは
小腸で吸収されることなく大腸まで到達した食物繊維は、どのような働きを見せてくれるのでしょうか?
食後の血糖値の急激な上昇の抑制
糖質であるご飯から食べると血糖値は急上昇します。食物繊維を含む野菜を先に食べると、血糖値の急上昇が抑えられ、ピーク値も低くなることを示しています。血糖値が高い状態が長く続くと、血管の内壁が傷つきやすくなるため動脈硬化が進みます。
ねっとりとした形状の食物繊維は、腸内をゆっくりと移動します。移動しながら腸の表面へとへばりつき、物理的に糖の吸収を邪魔します。その働きによって、血糖値の吸収は穏やかになるという仕組みです。
血糖値と同時に心配になる糖尿についてくわしくはこちらのページで解説しています
高血圧の予防
食物繊維摂取量の増加は1 SD(7.10 g/日)ごとに僅かであるが有意の血圧低下を認めた。介入試験のメタ・アナリシス71)でも平均10.7 g/日の摂取量の増大で収縮期血圧は低下傾向、拡張期血圧は有意に低下した。
食物繊維は体内のナトリウムをくっつけて排出します。ナトリウムは血管内に水分を引き寄せて血圧を上げますが、食物繊維がナトリウムを排出促すことで、高血圧対策になります。
食物繊維の種類
食物繊維はその性質によって大きく二つに分けることができます。
水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」です。この二つはそれぞれ違った役割を担っています。
水溶性食物繊維…糖質の吸収を穏やかにして、食後の急な血糖値の上昇を抑える。血液中のコレステロールを排出する
不溶性食物繊維…胃や腸で水分を吸収して膨らむことで便のカサを増やす。また膨らむことで腸を刺激して便通をサポートする。
食物繊維の目安量を採れているかの判断方法とは
体の大きさやライフステージによって食物繊維の必要量は変わってきます。
自分が一日あたり、充分な量の食物繊維をとれているかどうかは、便通を目安にするとわかりやすいです。
食物繊維の充足具合は「一日に一回、規則的に排便がある」かどうかという体からのサインで調べることができます。
また理想的な排便量は一日に約150g(Mサイズの殻なし鶏卵に換算すると約3個分)。毎日この量の排便があることが、良好な腸内環境である目安としています。
年代別食物繊維の一日目安量
年齢別の食物繊維の一日当たりの目標量を表にしてみました。この量の食物繊維を毎日とれているかどうか、体のバロメータである規則的な排便があるかどうか。併せて確認して、不足しているようであれば食事やサプリメントで工夫してみるのもいいかもしれません。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
3~5歳 | 8g以上 | 8g以上 |
6~7歳 | 10g以上 | 10g以上 |
8~9歳 | 11g以上 | 11g以上 |
10~11歳 | 13g以上 | 13g以上 |
12~14歳 | 17g以上 | 17g以上 |
15~17歳 | 19g以上 | 18g以上 |
18~29歳 | 21g以上 | 18g以上 |
30~49歳 | 21g以上 | 18g以上 |
50~64歳 | 21g以上 | 18g以上 |
65~74歳 | 20g以上 | 17g以上 |
75歳以上 | 20g以上 | 17g以上 |
妊婦・授乳婦 | - | 18g以上 |
食物繊維の目標量達成のため、摂るべき食材は?
ただ何となく毎回の食事をしていては一日当たりの食物繊維目標量を達成することは、なかなかできません。 しっかりと食事ついての計画を練ったり、効率よく食物繊維を採れるような食材を積極的に選んでいくことがポイントとなります。
ここではオススメの食材を紹介します。うまく活用して一日当たりの食物繊維目標量が達成できるように頑張りましょう。
食物繊維を効率的に摂れるおすすめ食材
野菜に多く食物繊維が含まれていることは多くの人がすでにご存じのことでしょう。
中でもイモ類やキノコ類、切り干し大根、海藻には多くの食物繊維が含まれています。
不溶性食物繊維を多く含む食べ物(100g当たりの成分量)
きくらげ(73.1g)、切り干しだいこん(16.1g)、ドライトマト(15.3g)、おろししょうが(7.3g)、エリンギ(5.2g)、糸引き納豆(4.4g)、さつまいも(3.5g)、ライ麦(10.1g)など
一日当たりの食物繊維目標量を楽しく達成するポイント
健康を維持するためには、何よりも楽しんで継続できるような食事であることが大事。
そこで食物繊維をうまく採って一日当たりの目標量を達成し続けるために、取り入れやすい食事方法についてご紹介します。
ライ麦や雑穀を主食に取り入れる
主食に食物繊維が豊富な食品を取り入れることで、効率的に一日の目標量へと近づけることができます。また、ライ麦や玄麦、雑穀は血糖値の急激な上昇を抑える効果も期待できます。
最近では炊飯時に混ぜるだけの雑穀などもありますので、うまく取り入れてみましょう。
大豆製品や野菜を主菜に取り入れる
納豆や冷ややっこを食卓へプラスしてみよう!
また副菜よりも量を多く食べる主菜の中に、ごぼうやモロヘイヤを使えば、無理なく食物繊維を摂れます。
風味やクセが少ないきのこは、炊き込みご飯に入れるとたくさん食べられます。 きのこは食物繊維だけでなく、食べすぎが心配な方や食欲旺盛な育ち盛りの方にも嬉しいかさまし効果が期待できます。
キノコは冷凍保存もできますし、価格も安定しているため家計にとって大きな助けとなります。 その他にもドライトマトや、冷凍のミックスベジタブルは手軽に買えて、見た目の鮮やかさもプラスしてくれるので重宝できる食物繊維食材です。
スープや汁物に食物繊維豊富なものを取り入れてみる
かつての日本人は毎日和食を食べていました。和食に必ずと言っていいほどついている「味噌汁」や「お吸い物」は、野菜や海藻を食べるためにはもってこいのお料理です。
味噌汁に合わない野菜はほとんどないと言ってもいいほど、どんな野菜、海藻でもおいしく食べられます。またいろいろな食材をたっぷりと入れれば、副菜としてもおいしくいただくことができます。豚汁であれば、ゴボウや里芋、こんにゃくやキノコ。食物繊維の優秀食材を一腕でたっぷりと食べられて満足感も得られます。
主食に合わせたスープは、食事内容に応じてバリエーションを持たせられます。洋食であれば、シチューやポトフ、中華であれば、たまごスープや春雨スープなど、手軽に様々なスープのレシピがネットで探せます。 子供からお年寄りまで誰でも食べやすいスープを取り入れれば、食事の幅が広がり、楽しい食卓を演出します。
一日の食物繊維目標量を楽しく目指してみよう!
食物繊維を充分とることは、心身の健康を保ってくれます。良く知られた腸内環境のサポートの他にも内外に良い影響をたくさん与えてくれます。
おいしく食べて免疫力を高く保ち、病気に負けず、美しいカラダの基礎をつくる。そんなメリットだらけの食物繊維で楽しく健康な毎日を目指してみませんか?
食事だけで充分な量を摂り切れない。
毎日続けるのはやっぱり大変。
仕事や家事が繁忙な時にはちょっと楽したい。
そんな時には便利なサプリメントを使ってみるのもアリ。 自分のライフスタイルに合ったやりやすい方法を見つけて、食物繊維の一日の目標量に少しでも近づけるように工夫してみてください♪
不足している食物繊維を補えるサプリメントは?
現代人が不足している一日当たり約10gの食物繊維を手軽に補えるサプリメントなら、難消化性デキストリンがおすすめ。
特定保健用食品にも使われている水溶性食物繊維サプリメント。1回5gの細粒を水やお茶に溶いて飲むだけの簡単サプリメントです。
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