犬の健康
犬の肥満は放置しちゃダメ!思ってる以上に深刻な犬の肥満について解説
犬の肥満は放置しちゃダメ!思ってる以上に深刻な犬の肥満について解説 ~目次~
うちの犬は肥満?ぽっちゃり?
犬にとって食事は楽しい時間。何よりおいしくご飯を食べてくれるのは嬉しいですよね!ぽっちゃりとしたわんこは見た目に可愛く、ふかふかの抱き心地で気持ちが良い。ご褒美、おやつ、新商品を見つけたから…知らず知らずのうちにあなたの愛犬は食べすぎていませんか?
もしかしたら愛犬は、「ぽっちゃり」ではなくて、「肥満」かもしれません。肥満は万病の基。健康や生活に影響をもたらすこともあります。
実際に愛犬が肥満かどうかは、適正体重から判断できます。毛がフカフカな寒い季節や、座り方・体勢によって、肥満でなくても真ん丸に見えたり、太り気味に見えることもあります。
この記事ではそんなわんこの体型・適切なダイエットについて解説します。
犬の肥満の診断方法
適正体重を正しく判断する
ボディ・コンディション・スコア(BCS)を使って調べてみよう
環境省は犬や猫の健康を保つために、適正体重を把握する目安としてBCS(ボディ・コンディション・スコア)を公開しています。 体型の未病な変化は見た目からではわかりにくいため、日ごろから体重測定を週1回程度行うことを推奨しています
BCSの測定方法とは
ボディ・コンディション・スコア(以下BCS)は、見た目と触れた感触から、体型を9段階(簡略したものは5段階)で評価するものです。
主に脂肪の付き具合を見るための指標です。大型犬から超小型犬まで犬種問わずに使用できる指標ですが、犬種や個体によりベスト体重は異なるため、あくまでも目安として使うものであることを知っておきましょう。
BCSによるチェックをやってみよう!!
BCSは、いつでもできる簡単なチェックで判定できます。
①犬を横から見てみよう!
犬が立っている状態を横から見てみよう。肋骨の境目から少しお尻に寄った下腹部は、くびれて持ち上がっていますか?
動いてしまう場合には写真を撮ったり、見えにくいときは実際に手で触って確認してみるとより正確になります。
②犬を上から見てみよう!
飼い主の両足の間に、犬を立たせます。犬を跨ぐ体制です。 大型犬の場合には無理せずに高い位置から見ましょう。
見た目でウエスト部分はくびれていますか?
毛の長い犬種は分かりにくいので、チェックできない時には写真を撮ったり、触って確認しましょう。
③犬の上から肋骨を触ろう!
②の位置のまま、犬の肋骨を上から両手で撫でましょう。
肋骨は触れますか?見た目でわかるほど、表面に浮き出していますか?
縦・横に撫でると凸凹がわかりやすく判定しやすくなります。
地肌に添わせるように指を使うのがポイントです。
④腰の骨を触ってみよう!
しっぽの付け根と背骨の終わりの両脇にある腰骨を手で触ってみましょう。
イメージとしては人間で言うおしりのあたりです。
肋骨と同じく、どの程度浮き出ているかチェックします。
どうでしたか?
実際に上のBCSの基準にあてはめてみて、わんこのスタイルをチェックしましょう!
愛犬が肥満だった!その時どうしたらいいの?
BCSチェックでBCS4やBCS5が出たワンコは肥満気味・はたまた肥満です。
犬の肥満の割合は世界的に高まっており、世界中の犬のうち3~4頭に1頭は太りすぎ、もしくは肥満体型と言われています。
そんな方はぜひこの後の愛犬が肥満になった時の対処法について、チェックしてみてください。
犬が肥満になる原因
不妊手術
不妊手術を行うと、性ホルモン分泌停止によって運動量が低下します。それにより食欲が増加したり、脂肪の増加がおこり肥満になりやすくなると考えられています。
中には不妊手術をすると必ず肥満になると思われている方もいますが、手術後の適正な運動量・食事量管理をすれば、体重と体型は適正に保てます。
運動不足
飼い主が忙しく散歩に行けなかったり、天気や気温といった気候が悪く散歩に行けないことが続くと犬は運動不足になってしまいます。
近年多いのが、中型犬や大型犬はもともと運動量が多く、毎日の散歩だけでは足りてない「隠れ運動不足」。
毎日普通に散歩に行っているので、飼い主は運動量が充分だと思っています。ところが、犬からしてみたら、実際は足りてなくてフラストレーションを抱えている事があります。飼う前に犬種別の特徴や適正な運動量の把握を正しくするようにしましょう。
運動不足は筋肉量の低下も招きます。筋肉量が落ちるほど、消費カロリーは減り、さらに運動しなくなる悪循環を生みだします。
カロリーの過剰摂取(食べすぎ)
犬に限らず、消費するカロリーよりも摂取カロリーが多ければ、使いきれないエネルギーが体に蓄積されます。
犬が食べてる姿がかわいいおやつ、遊びながら食べられるおもちゃなど、食と遊びを融合したアイテムのヒットも食べすぎの原因の一つとして挙げられます。
また犬のライフステージによって必要なカロリーは変わります。子犬の時とずーっと同じご飯を何年もあげていませんか?
成長期の栄養はシニア期の子には多すぎます。余ったカロリーが、脂肪として溜まる原因にもなりますので定期的に見直しが必要です。
飼い主との関係性
太っている人は飼い犬も太っている傾向が強いとの研究結果が18日、発表された。飼い主が訓練目的以外で褒美として餌を与えがちなことが原因の一つだという。
デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)の科学者チームによると、太り気味または肥満の犬の飼い主が過体重または肥満である割合は35パーセントで、飼い主が痩せているまたは標準体重である割合14パーセントの倍以上となっている。
この研究によると、平均体重の飼い主は訓練目的でおやつをあげる一方、肥満気味の飼い主は自分が食べていた残りや、自分の気分が良いときにおやつをあげる傾向がある。とされています。
あくまでも研究の段階ですが、思わず「ドキッ」としたのはささまるだけじゃないはず…。
肥満が健康リスクとなる病気
糖尿病
糖尿病はすい臓で作られるインスリンが糖をうまく分解できず、血糖値が高くなり尿中にブドウ糖が出てしまう病気です。 初期段階での発見が難しく、進行すると白内障や腎疾患、肝疾患などたくさんの病気を引き起こします。
高血圧
人間と同じように加齢や肥満、運動不足、ストレス、塩分の多い食事を続けていると犬も血圧が高くなります。 肥満は適正体重と比べて高血圧になりやすく、進行すると脳や心臓、腎臓などに悪影響を及ぼしの命に関わる病気を引き起こします。
腎臓病
腎臓の一番怖いところは、腎臓の機能が50%以上失われて初めて目に見える症状が出ることです。 腎臓が持つ身体の不要物を取り除く働きが滞ると老廃物がたまり、体調を崩します。 慢性的な腎臓病は、一生治ることはありません。発症させないことが大切です。
関節炎
重たい体重を支える足は、関節や軟骨に過剰な負荷がかかります。関節炎はほっておくと症状が進行して、変形した部分は完全にもとには戻りません。
歩行が難しくなると運動不足にも拍車がかかり、ますます肥満が加速します。
肥満になりやすい犬種とは
犬種により、遺伝的に太りやすい種類がいます。この犬種じゃないから大丈夫。とか、この犬種だから絶対に太る。ということではありませんが、一つの目安として参考にしてみてください。
柴
アメリカン・コッカー・スパニエル
フレンチ・ブルドック
バセット・ハウンド
ダックスフンド
ビーグル
ラブラドール・レトリーバー
シェットランド・シープドック
ミニチュア・シュナウザー
ウェルシュ・コーギーなど
犬のダイエット手順
適切な食事管理
まずは愛犬がいつ、何を食べているのかについて把握しましょう。犬は人間が与えたものしか食べていません。それをすべてをリスト化してから、カロリーを調べて食べすぎや、食べたものについて考えます。
おやつは全体的に嗜好性が高く、カロリーの過剰摂取を引き起こしやすいため、食事制限中は控えるのがベター。どうしてもの時には温野菜などを活用しましょう。
人間用の食べ物は、全体的に塩分が多くカロリーも高いため、犬に食べさせるのはNG。
また一日中ダラダラと何か食べるのではなく、一日の回数を決めてそれに合わせてカロリー調整をします。
体重管理用のフードは、低カロリーで栄養の吸収についても考えられたフードです。繊維質が多く歯ごたえや満足感も考えられているので、肥満に悩むわんこや不妊手術後のわんこの強い味方となってくれるでしょう。
散歩や運動を行おう!
急な激しい運動は、犬の身体に大きな負担となるので、かえって健康に良くありません。
運動を行う目的は、筋肉を維持して、健康を守り促進すること。まずそこをちゃんと理解しておきましょう。
これまで運動できていない子は、まず近所を10分程度ぐるりと散歩することから始めましょう。これまでの運動量や犬種、年齢により適正な散歩の時間はそれぞれ異なりますが、そこから徐々に伸ばしたり回数を増やしていきます。
一番の目標は、犬も飼い主も無理なく続けられる習慣にすること。ちょっと公園にいったり、終わってからマッサージをしたりと楽しみを作ると継続しやすくなります。
一週間で現在の体重の1%~1.5%を減らすことを目安に進めてみましょう。
犬のダイエット成功の秘訣
こまめな経過観察
犬のダイエットの一番の敵は「飼い主」であることを知っていますか?
ペットラインが2015年に行った愛犬のダイエットに関する調査によると、犬のダイエットに取り組んだ人のうち約4割が挫折の経験があるそうです。
ダイエットを挫折してしまった理由について調べると、「犬がかわいそうに感じておやつをあげた。」や「散歩が大変だった」など飼い主側の事情によるものであると分かりました。
気持ちはわかりますが、肥満を放置して愛犬の寿命が縮んでしまっては本末転倒です。
体重の変化や様子を記録することで、ダイエットの成果が目に見えます。お休みやご褒美デーを作りながら、今日も頑張ろう!と、飼い主のモチベーションを保ちます。
犬がストレスを溜めない工夫
犬っておいしいもの大好き!ですから、食べたいものが食べられなかったり、お腹がすくとイライラします。そんな時には一度の量を減らして回数を増やしてみるのもいいかも。
お腹が空いているときのごはんって一口目が最高においしいです。でも食べていくうちに、最初の一口ほどの感動はなくなりますよね。
つまり、「最高においしい一口」を何度も作ることで、食へのフラストレーションを減らす作戦です。ワクワクしながら食べる一口にきっと喜んでくれることでしょう。
犬の肥満について-まとめ-
ダイエットは犬にとっても飼い主にとっても、つらくて大変です。でも、もし愛犬の肥満を放置して重大な病気やケガをひきおこし、短命になってしまうことがあればきっと後悔することでしょう。
愛犬が肥満による不調に陥らないように、時には心を鬼にしてダイエットに取り組むことも必要です。
一緒に頑張り、成功したときには一緒に喜ぶ。やり遂げた先には硬い絆ができることでしょう。楽しみながら健康的な体系を維持したいですね。
参考:環境省 体重管理について
参考:福井新聞社 「3~4頭に1頭は太りすぎ…犬の肥満対策、ダイエット法まとめ 不妊手術や去勢手術後は体重増えがち【ペットドクター相談室】」
参考:AFP BB News「太っている人は飼い犬も太っている傾向 研究」
おすすめ熊笹コンテンツ